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古代エジプト時代には既にあった!?「鍵の起源」
現代を生きる私たちは当然のように玄関や窓に鍵をかけて生活しています。私たちが安心して生活するために、鍵はなくてはならない存在であるといえるでしょう。
そのような生活必需品になった鍵は、いったいいつ頃誕生したのでしょうか。今回は、鍵の起源をひもといていくことにしましょう。
現在使われている鍵や錠前は、ピッキング防止のために複雑な形状になっていたり、ICカードや暗証番号などの電子的な鍵を利用したりと、さまざまなタイプのものがあります。さすがに、ここまでハイテクなものではありませんが、「ドアが開かないようにする」という鍵の役割を持った道具は、紀元前4000~2000年頃の古代エジプト時代には、既に存在していたといわれています。現代では「エジプト錠」と呼ばれる木製のもので、その目的は文明が発達して生まれた財産の保管・管理であったとされています。
エジプト錠は、閂(かんぬき)に規則的な複数の穴を空けて、その穴に合うように「パスタ杓子」のような「ピン」がついた棒(鍵)をさすことで、閂を抜いたりさしたりできる画期的ともいえる仕組みになっていました。こうした技術は、現在の鍵・錠前として広く普及している「ピンシリンダー」に通じる仕組みとなっており、エジプト文明の技術力の高さをうかがい知ることができます。
出典:里文出版編『世界の鍵と錠』里文出版2001年
古代ローマ時代になると、鍵と錠前はより実用性・耐久性が求められ、青銅製や鉄製のいわゆる「金物
へとその材質も変化。このころになると、鍵を差し込んで回す「ウォード錠」といわれる、より現代の鍵と錠前に近しい形状や構造に変化を遂げていきました。
紀元79年、ベズビオ火山の噴火によって火山灰に埋没した古代ローマの都市ポンペイの遺跡からは、錠前の専門店と思われる建物が発見されていることからも、専門店ができるほど鍵と錠前が一般市民の生活に浸透していたことが想像できます。
日本最古とされる錠前は、大阪府羽曳野市の野々上遺跡から出土した「海老錠」と呼ばれる海老のような形状の錠前といわれ、飛鳥時代にフタ付の箱に使用したとされています。しかし、飛鳥時代には錠前は、それほど普及していたとはいえず、日本で世間一般に錠前の使用が広まったのは、江戸時代に入ってから。仕事が激減した刀鍛冶によって、錠前の高付加価値化が行われ「和錠」と呼ばれる豪華な装飾と(当時の日本では)高機能な防犯性を備えたユニークな「からくり錠」などが次々と誕生していきました。
二上外次郎作『覚眠器付錠』(1895年~)
画像は「覚眠器付錠」。正しい手順で鍵を空けないと、ベルが鳴りだす。
より高いセキュリティ性が要求される場合、錠前がある場所を隠したり、偽の錠前を設置するなどして、とにかく「盗賊に時間を浪費させる」対策を施しました。こうした防犯における「時間」の概念は、現代の防犯設計にも確実に生き続けています。
このように、現代の私たちが当然のように使っているカギは、「使う人」も「作る人」も数千年の長い歴史を持っています。今後も人の暮らしの変化やテクノロジーの進化によって、より便利に、より安全で安心なものになっていくことでしょう。